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おそらのうえで。

おそらのうえで。

*相合い傘*



 放課後の教室

 委員会から戻ってきた私。

 黒板のすみっこに書かれてた

 君と私の

 相合い傘。


 *相合い傘*


 「・・・なにこれ」


 見た瞬間

 わけわかんなくって

 その前でじっとソレを眺めてた。



 久し振りに見た相合い傘が

 まさか自分と

 大好きな君のモノなんて

 ・・・驚くのも当たり前。


 
 「う・・・ん~・・・」



 後ろから聞こえてきた声に

 またびっくり。



 「あれ?何してんの?」


 だって寝惚け眼で

 そう私に問い掛けてきたのは


 「い・・・委員会・・・終わって・・・」


 今、私と相合い傘に書かれてる

 
 「あ、そうなんだ。ご苦労様」


 君なんだもん。



 思わず相合い傘を

 自分の身体で隠して

 君に問い掛ける。


 「・・・ずっとココにいたの?」

  
 君がずっとココにいたなら

 君はこの相合い傘

 誰が書いたか知ってる・・・?


 もしかして

 もう見た後だったり・・・


 あ、

 見たんだったら消してるか。。。


 「いたけど寝てた」

 
 そう言って

 大きくのびする君が

 なんだかかわいくて

 ふきだした。


 「何笑ってんの」


 そうやって笑う君。


 あ~、私この人のこと好きだなって

 改めて想う。



 「で、なんでそんなとこにいんの?」


 きゅんってしてるのも束の間。


 そうだ、忘れてた。



 私の後ろにかくれて相合い傘。


 
 「あ、なんか隠してるんっしょ」


 あたふたする私に

 すこしずつ近寄る君。


 こんなときに限って

 黒板けしが遠すぎる。。。


 「何隠してんの?」


 そうこうしてる内に
 
 もう目の前まで来た君。



 そんなに近くにこられたら

 この心臓の音

 聞こえちゃうんじゃないかって

 そっちまで気にしちゃう。


 「何、何?そんなに隠されたら
    すっげぇ気になるじゃん」


 にやにや笑いながら

 どうにかして私の後ろを見ようとする君。



 「あ・・・虫」


 君が突然そんなこと言うから


 「えっ、どこっ」


 虫大嫌いな私は

 思わずしゃがみこんじゃったじゃん。




 「・・・・へぇ~」


 しゃがみこむ私を

 君は上から見下ろす。



 「ちがっ・・それ・・・あの・・・
     私が書いたんじゃなくって・・・」


 慌てて弁解して

 黒板消しを慌てて取りに行く。


 「ほ・・ほんと・・誰が書いたんだろうね」


 乾いた笑いで

 相合い傘を消そうとする私の手を


 「俺」


 君はつよくひぱって

 私の目を見て言ったんだ。




 「・・・え?」


 状況がのみこめなくて

 呆然と君をみつめる私。


 「俺、君が好きだから
   どんな反応すんのかなって思って
  書いてみたんだけど・・・」


 君は少しかなしそうな表情を見せたんだ。


 「ごめん、迷惑だったよね」


 私の持ってた黒板消しを取って

 なにもなかったかのように消す君。


 沈黙の続く教室。


 君はなにも言わないでカバンを手に

 教室を出たんだ。


 
 相合い傘を書いたのは君で・・・

 君は私が好きで・・・

 私は・・・

 君が・・・



 頭の中でようやく整理出来て

 私は君を追いかけた。


 下駄箱で

 傘を広げようとしてる君の背中に


 「好きなのっ」


 思いっきり叫んだんだ。


 「私も・・・好き・・・だから・・・」


 好きだからかくしたの。

 好きだから

 あんなの見られたら

 恥ずかしくって・・・

 でも

 好きだから

 嬉しくて・・・


 息を切らして

 君をまっすぐ見つめる私に

 君はにっこり微笑んだ。



 「一緒に帰ろっか」



 
 傘は一つ。

 君と私の相合い傘。







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bbs

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